塩多慶四郎: 赤富士大椀

輪島の作家でキュウ漆で1995年人間国宝に指定された塩多慶四郎の赤富士椀です。

寡作な作家で日本伝統工芸展や宮内庁の仕事以外は、一般には殆ど出ていないのですが、没後、直弟子の立壁雄一郎氏の元に残されていた貴重な作品です。松田権六を師と仰ぎ、加飾(蒔絵、沈金など)を加えなくても美しい物をと、1965年以降は一切の受け取り仕事を断ち「漆の一滴は血の一滴」と大変厳しい仕事を続けられました。この作品もキュウ漆の神髄とも言うべき「塗立」です。

この作品は実は今年還暦を迎えた私への家族からの贈り物で、他にもいくつか候補があったのですが、娘の「還暦!赤富士!これっきゃない!!」の 一言で決まりました。まあご縁があったのでしょう。 二重箱を立壁雄一郎氏にお願いしている所です。仕上がりが楽しみです。

[追記:2012.8.19]以前からお願いしていた立壁雄一郎氏の二重箱が出来上がって参りました。これも呂色ではなく 塗立てです。箱自体でも充分作品として通用する箱です。我が儘を聞いて頂き感謝!でございます。 

作家
  • 塩多慶四郎
制作年
  • 1996年
寸法
  • 高さ: 10.4cm, 口径: 14.3cm