芝山: 小函

芝山の作品をいつか1つ持ちたいと探していましたが、柄が牡丹や菊の所謂お土産用だったり、青貝の剥離や金彩の擦れが目立ち、買う気になれないでいましたが、何とか満足できる物に出会えました。

柄は二房の藤ですが、手前は青貝、後ろは象牙が象嵌されており、微妙な立体感があります。

蔓も幕末期に見られる彫り込んだ線に顔料(漆でしょうか?)を塗り込んだもので、時代が下がるとこの線が金彩になり、擦れの原因にもなります。

象牙も良い部分を使ったらしく、里帰り品にありがちな割れ、ヒビも殆どない良い状態の物です。


芝山象嵌:江戸期に芝山仙蔵改易が始めた象牙に着色した象牙、貝、鼈甲、珊瑚などを象嵌する技法で、一時使われなくなくなっていたが、幕末期に西洋人の求めで、印籠、根付けなどの小物から衝立、屏風などの大物まで作られるようになった。

仙蔵改易の孫の名前も同じく「芝山仙蔵(業名真凌斎改易)」として、明治12年第一回内国勧業博覧会の事跡をまとめた「東京名工鑑」に残されているという。

この小函にも埋め込み象嵌に「芝山」の銘があるが、芝山改易本人作かは定かではない。

作家
  • 芝山
寸法
  • 縦: 6.2cm, 横: 3.1cm, 高さ: 2cm